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岩下徹【TBC出演者紹介】

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岩下徹
<舞踊家>国際的な舞踏集団<山海塾>ダンサー。ソロ活動では<交感(コミュニケーション)としての即興ダンス>の可能性を追求。1957年東京生まれ。82~85年石井満隆ダンスワークショップで即興を学び、83年ソロ活動開始。かつて精神的危機から自分のからだを再確認することで立ち直ったという経験を原点とするソロダンスは、等身大のからだひとつで立つことから始まり、場との交感から生まれる即興として踊られる。代表作に、「みみをすますー谷川俊太郎同名詩より」、音楽家達との即興セッション等。1989年より滋賀県/湖南病院(精神科)で医療の専門スタッフと共にダンスセラピーの試みを継続実施中。日本ダンスセラピー協会顧問。桜美林大学、滋賀県立総合保健専門学校非常勤講師。  https://www.facebook.com/toru.iwashita.52

 

Tokyo Butoh Circus 7月24日(土)13:30〜
タイトル:in Silence

お決まりの!と言って良い程、踊りには音楽がつきものだ。嘗て私の踊りも、いつの間にかその柵(しがらみ)のなかに囚われて仕舞っており、気が付くともう既にそこから一歩も逃れられなくなっていた。
そこで、本当に私の踊りが音楽無しでは成立しないか否か?思い切って音楽から離れてみた。するとそこには、その時まで気付かなかった実に数多の音が聴こえてきた。音楽が全く無いことで、通常それが流れている場では聴こえていなかったもの、意識されていなかった音が無数に有るということに気付かされた。観客の咳払いや衣擦れ、椅子の軋み、また空調の唸り、照明の灯体やスピーカーから発する微かな音、そしてロビーでの靴音や話し声、更には外を行き交う車の走行音、警笛、「ヒダリニマガリマス」等々・・・。私は音楽以前にそれらの数え切れない音(ノイズ)のなかに晒されていたのだ!
そして、そのなかで踊ることによって、怖れと清々しさが同時にやってきた。 以来、「無音・即興・60分」という条件の下、ほぼ年に一度まるで年度末試験の如く、『放下(ほうげ)』シリーズを続けていたが、10年前の東日本大震災の約半年後、仙台・10BOX(ウッドデッキ)にて24回目を上演させて頂いてから(その翌年、25回目は無観客でフォト・セッションのようなことを試みたが・・・。)、甚だ情け無くもその持続が全く叶わなくなって仕舞った。 が、今回「トップサス1本の踊りをやっていただけないか」と、そんな私の事情を全然ご存知ない筈のY.Kさんにご提案頂いたお蔭で、「無音でサス1本で踊る」ことに再挑戦させて頂くこととなった。背中を押して頂いたのだ!
さて、「無音・即興・○○分」果たしてどうなるか・・・?勿論やってみなければわからないが、もしも私が即興“improvisation”の即興たる所以を踊れたのなら、その類語”improve” 改善するー上がる、磨く、立ち直る等 という願いが踊りのなかで叶うかも知れない。 Take a chance!

写真 清水俊洋

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